ウェブページ

« ■シリカゲルでの長期保管は難しい。 | メイン | ■有効期限の切れたAmazonギフト券の延長を行った。 »

■非接触式の放射温度計 SS5580(DT8580)。

放射温度計は慣れれば使い勝手が良いのですが、知識がなければ使えません

 

(1) 表面温度しか測れません。

表面温度は変動しやすく、風、気温、直射日光などの影響を受けやすいです。

 

(2) 放射率に関する知識が必要です。

対象の材質や色によって誤差が出ます。特に光沢のある物や金属は要注意。

 

(3) 体温計にはなりません。

医療機器ではありません。表面温度しか測れないので不安定です。

 

(4) 放射温度計を急に気温差のある場所へ移動させると回路が正しく動かず、誤差が出る。

「温度ドリフト」と呼ばれる特性です。温度が安定するのを待ちましょう。

 


中身はcheermanという中華メーカーのDT8580という製品のようです。

測定温度の上限は580℃までと記載されていますが、ちょっと怪しいです。後述。

 

↓液晶にはバックライトがあるので暗いところでも見えます。

バックライトはオンオフ可能。

トリガーを離した瞬間の温度(大文字)、測定中の最高温度(MAX)、放射率(ε)が一画面で表示できます。

写真はちょっとボヤけていますが、実際はもっとクッキリしています。

Dt8580_1

↓ポインターは上下に2点。

測定範囲の上端と下端を表します。

こちらもオンオフ可能。

Dt8580_2

 

◆気になった点

(1) 説明書は中国語と英語です。DT8000シリーズの説明書となっています。

(2) 振ると、内部からカラカラと何か部品が外れているような音がします

(3) 「SainStore JP 「サインストア・ジャパン」が販売し、Amazon.co.jp が発送します。」で購入しましたが納品書が入ってませんでした。

 

電源:  新品の9Vマンガン電池(6F22)が付属しています。中国PAKKO社製。

測定範囲:  -50~580℃

ポインタ:  赤いレーザーポインタが上下に2本。

 

◆電池

100均で9Vアルカリ電池が販売されているので困ることはないでしょう。

電池を上手くスライドさせて電池ボックスにハメ込むタイプです。

レーザーポインタとバックライトをオンにすると消耗が激しいでしょうが、どのくらい差がでるかは不明。

付属のテスト用マンガン電池では、レーザーポインタ + バックライト点灯で連続20分ほど使用すると残量低下マークが表示されました。

目安として、マンガンはアルカリの半分程度の容量です。

 

◆レーザーポインター

個体差でしょうが、私のはポインターがちょっと上にずれてました。

2m先を狙うと5cm上にずれてました。

発熱体の輪郭付近(下や左右)を測定してみるとズレが分かります。

(発熱体の上側は暖かい空気が昇っているのでズレが分かりにくいです)

ポインターは銃口から約36cmの距離で交差するので、近距離だとどこを狙ってるか良く分かりません。

ポインターはかなり強くて視認性が良いので、人に向けないようにしましょう。

霧の出ている夜に使用したところ、50m先まで赤い光の線が伸びたのを確認しました。

ポインターは照準を合わせるためのもので、オフでも測定できます。

 

◆電源オンオフ

トリガーを引くと電源オン。

起動は約1秒で速いです。

操作をせずに30秒経つと自動的に電源オフ。

他の製品は6秒~20秒など短めらしいので、この製品は使いやすい方だと思います。

この製品は反射率を設定できますが、電源がオフになるとリセットされます

そのため自動オフの時間は長い方が良いでしょう。

 

◆測定方法

電源オン時にトリガーを0.5秒ほど引き続けると測定します。

(一瞬引くだけでも表示されますが、精度が出ないでしょう。)

トリガーを離すと「ピピッ」という音が出てホールド状態(表示が固定)になります。

トリガーを引き続けると連続で測定。数値は約0.5秒ごとに変化します。

接触式温度計の場合は測定に数十秒から数分かかりますが、こちらは約0.5秒と驚異的な速度です。

(特に接触式温度計は接触面積が重要なため、固体相手だと時間がかかります。)

ただし、こちらは放射率の問題で測定が難しい物があります。

放射率は設定で変更できます。

モードボタンで機能切り替え。

モードボタンを押すたびに、トリガーを押し始めてからの「最高温度」、「最低温度」、「平均温度」、「測定開始からの差分」の機能が1つずつ切り替わります。

これらの値は画面の下部に1つだけ表示できます。

つまり「現在の温度」と「最高温度」を一画面で同時に表示できます

他の中華製品だと同時に表示できず、モードボタンを押して切り替えなければならない物がいくつかあるようです。

 

◆放射率

放射率εを変更可能。▲や▼ボタンを押すと増減。

しばらく押し続けると素早く増減する。

ただし、電源がオフになると標準値の0.95に戻ってしまう

 

◆精度

0℃~100℃の範囲しか測っていませんが、割と良好な模様。

下記の実験結果を参照してください。

放射率の高いものはあまり現実的ではありません。

特に光沢のあるものは、「接触式温度計」と比較してどれだけ差が出るか確かめなければならないでしょう。

炎を直接測ったり、気体もダメですね。

網戸などスカスカな物もダメ。

ガラス越しに外の気温を測ることはできません。ガラスの温度が出ます。

また、測定しているのは表面だけなので注意が必要です。

 

◆謎の温度範囲

箱には温度範囲の部分だけ「-50℃~580℃」というシールが貼られています。

箱には精度や応答時間などが印字されていますが、温度範囲だけシールです。

モード設定から、一定の温度に達するとアラームを鳴らすことができるのですが、何故か最高温度800℃に設定されています。

最低温度アラームは-50℃に設定されているので正しいです。

「測定限界に達するとアラームを鳴らす」という仕様のはずなので、800℃が測定できないとおかしいです。

「精度が出るのは580℃まで」と考えた方が無難でしょう。

 


◆いろいろな物を測定

9/6日の晴れの正午ごろ、気温27℃、湿度60%。

前日に小雨が降っています。

残暑も落ち着いてきた頃で、直射日光は暑いですが、エアコンは必要ないかな~といった感じです。

下記はすべて同日、同時間帯に測定しました。

放射率は変更していません

 

(1) 半田ごて

こて先は酸化したりコゲが付いて放射率がデタラメになるため、正確な測定は無理です。

何か「黒い物体」にコテ先を長時間当てて加熱し、その黒い物体を測定すれば精度が上がると思われますが、適当な物が見当たりません。

やっぱりテスタなどに付いているK型熱電対や、専用のコテ先温度計じゃないとダメかな?

3m先からコテ台を測定すると、気温より3℃ほど高く表示されたので「あ、電源が入ってるな」と分かります。

 

(2) 体温

日陰で測定すると32~34℃付近を示します。

体表の温度なのでこんなもんでしょう。

気温や風が影響するので体温計として使うのは危険です

 

(3) 氷を浮かべて良く混ぜたカフェオレ

液面を測定すると0℃~2℃ほどでした。

まぁまぁいいんじゃないでしょうか。

 

(4) トタン

■■■■■

↑これくらいの色のトタンです。

60~65℃でした。

太陽光を吸収してかなり熱くなってます。

8月の真夏日だとトタンが70℃を超えて素手で触り続けると火傷してしまいます。

 

(5) プランターの土の温度

直射日光の当たる「乾燥した培養土」を測定すると63℃ほどを示していました。

上述のトタンとほぼ変わりません。

ホームセンターなどで低価格で販売されている植物用の土です。

タニタの接触式温度計(TT-533)で地表から2cm下の部分を測定すると42℃、地表スレスレだと63~68℃です。

土中温度を測るときは、直射日光を遮った状態にして掘り、素早く測る必要があります。

日陰にしつつ2~3cm掘って放射温度計で測定すると44℃とまぁまぁ良いです。

ついでに、常に日陰になっているプランターの土の表面を測定すると35℃。

直射日光のおそろしさが良く分かりますね。

というわけで、放射温度計はしょせん「表面」の温度しか測定できません

土の表面で反射した太陽光がセンサーに影響しやすいので、太陽光を遮ってから素早く測定します。

測定対象に一瞬だけ手で触ったり、直射日光がちょっと当たるだけですぐに影響が出ます。

特に熱伝導率の低いもの(プラスチック類)を触ると、なかなか熱が分散しないので厄介です。

机を触って測定すると、そこだけ温度が上がってるのが分かります。

 

(6) 室内の壁

白い壁紙、茶色い木製のドアなどを測定しましたが、他の気温計とほぼ同じで±1℃程度で良好です。

というか気温計の方が当てにならないので、乾湿計を使わないと精度を論ずることはできないでしょう。

 

(7) 近所の屋根とか木とか

かなり距離があるので正確な測定は無理ですが、石瓦の屋根は基本的に45~50℃近くです。

石瓦は太陽光が反射しているので正確かどうか分かりません。

葉の生い茂っている針葉樹「ビャクシン」は気温とほぼ同程度です。

緑のカーテンというものでしょうか。

ちなみにビャクシンは町中の至る所で目にしますが、リンゴやナシの天敵である「赤星病」の宿主になるので、園芸で育てているリンゴがやられて困っています。

リンゴやナシの生産地ではビャクシンが規制されているようです。

 

(8) お湯を真っ白な陶器の皿に入れて測定

よくかき混ぜ、放射温度計で57℃、タニタで59.5℃。

放射率は0.95から変更していませんが、意外と差がありませんね。

水は0.1mm以上の深さがあれば放射率は0.96だそうです。

容器はほとんど関係ないようです。

ただし、大量の湯煙(水蒸気)ごしに測ると赤外線が吸収されるので誤差が出る可能性があります。

 

◆その他

冬は窓際の壁がちょっと低温なのが分かります。

カーテンも冷たいです。

エアコンの吹き出し口の温度も目安程度に測定できます。

電源が入っているACアダプターやインターネットの終端装置、液晶モニタ、扇風機のモーター部分などを測定してみましたが、数m先からでも暖かいのが分かります。

 

他の中華製品では医療機器でもないのに赤ん坊の体温を測定できる」などと宣伝しているメーカーが存在します。

危険なので行わないように。

表面の温度」しか測れないので、測定結果は当てになりません。

風の影響、測定する部位、汗の有無でころころ変わります。

「体温」が1度でも上下すれば赤ん坊にとっては大問題です。

この手の放射温度計は、生きてるか、死んでるかぐらいしか分からないと考えてください。

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.blog.bbiq.jp/t/trackback/641437/33565517

■非接触式の放射温度計 SS5580(DT8580)。を参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。